タックス・ニュース 第221号 2015年5月号

タックス・ニュース 第221号 2015年5月号

トピックス

地域統括事務所(IHQ)と国際貿易センター(ITC)への新税務恩典発表

  • IHQとITCへの税務恩典が歳入局より新たに公表されました。
  • IHQへの税務恩典は、以前も地域統括事務所(ROH)への税務恩典として存在していましたが、今回は、前の恩典よりも条件が緩和され減免対象も拡大しています。詳しくは本誌に勅令の翻訳(勅令第586号)を掲載しましたので、そちらをご覧ください。
  • ITCについては、来月のタックスニュースにて、翻訳(勅令第587号)を掲載予定ですが、以下の通りIHQに対するものとほぼ同じです。

条件

  1. 各会計期間の決算日において払込資本金が1千万バーツ以上であること
  2. 各会計期間のITC事業に係る支出が1千5百万バーツ以上であること
  3. ITC税務恩典について歳入局長の許可を得ること
  4. 歳入局長が定める規則、方法及び条件を遵守すること

税務恩典

  1. タイに輸入しない又はタイの港を経由して外国に販売した売上に対する法人税免税
  2. ITCに勤務する外国人への個人所得税を15%に減税
  3. 外国の法律により設立されタイで事業を営まない会社がITCにより受け取ったITC事業から生じた配当金に係る法人税免税(すなわち源泉徴収税10%の免除)
  4. 税務恩典期間は15会計年度
  • なお、IHQもITCも、別途BOI奨励事業ともなっており、こちらは税務恩典はありませんが、外資規制法の免除、労働許可及びビザの条件緩和、土地所有恩典、ITCに関しての輸入関税免税恩典等があり、BOIと歳入局恩典の両方を申請することも可能です。

移転価格税制に係る歳入法典改正法の内閣承認

  • 2015年5月7日付で、正式に移転価格税制を導入した歳入法典改正法ドラフトが内閣により承認されました。ドラフトの骨子は以下の通りです。
  1. 関係会社の定義の法定化。これは日本及び会計基準の内容に準拠したもので、一方の会社が他方の会社に対して、直接又は間接に、株式を保有し、共通の経営陣を有し、又は支配関係がある場合を言うとされるようです。
  2. 移転価格税制課税の結果としての税金還付の時効期間延長。これまで税金還付の時効期限は、例えば移転価格税制に関する相互協議の結果還付が生じるとしても、相互協議自体が2年以上の長期に及ぶことが通常であるにもかかわらず、タイ側では依然として申告期限から3年以内に行わなければならないことになっていました。この点改正法では、移転価格税制による賦課決定通知を受け取ってから60日以内に税金還付請求を行えることができるようになります。
  3. 文書化の法定化。これが一番大きい部分ですが、関係者との取引がある会社は、法人税申告書の申告期限に、移転価格税制に係る文書を提出する義務が法定化されました。文書の内容は、当該関係会社との関係に関する文書と関係者会社との移転価格の決定方法についてのものであることが明らかとなっていますが、おそらく日本や現在の通達ポー113号に規定されている内容と同種のものと思われます。つまり、OECD移転価格税制ガイドラインに沿ったものになりそうです。提出に違反した場合は、40万バーツ以下の罰金も科せられることになっています。
  • 尚、興味深いのは、現時点で明らかとなっているドラフトの内容からすれば、今回の改正法による移転価格税制は、(1)の定義からすれば、国際取引のみならず依然として国内取引も対象となっているように見えること、またさらに(2)の移転価格課税の結果還付が生じる場合について国内取引も対象にしているようにみえ、対応的調整が国外国内両方に適用される規定であることが想定されます。これは、これまでのような一方的に企業の国内取引に対して低廉譲渡否認の規定をてこに一方的に課税が行われている事態を改善することになることが期待されます。

最新法令一覧表

重要法令・ルーリング全訳・解説

最高裁判所判決要旨No. 7013-7014/2555号

試用期間中の即時解雇及び労働裁判における最高裁への上告理由

最高裁判所判決要旨No. 13993/2555

ロイヤリティー(使用料)の定義

仏歴2558年勅令(第586号)

国際地域統括本部(International Headquarters)に対する減税措置を定める勅令

歳入局解説

付加価値登録事業者である物品購入者又は役務受領者の税額票記載事項における納税者番号について

歳入局ルーリング第ゴーコー(ゴーモー09)/ポー/125

タイ国外に居住する事業者の名義で代理人が発行する税額票

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