タックス・ニュース 第262号 2018年10月号

タックス・ニュース 第262号 2018年10月号

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国家立法議会による移転価格税制に関する歳入法典 改正の承認

2018年9月14日、国家立法議会特別委員会(訳者注:以下、“委員会”と呼称。)は、仏歴……年歳 入法典改正法案(第….号)について検討し、歳入法典の改正を承認した。本改正は、相互関係を有する会 社または法人格を有する組合が、関係会社間で資産移転、役務提供又は融資における移転価格について、設 定するべき価格より異なる価格を設定する場合で、当該会社又は法人格を有する組合が独立する際における 法人所得税課税に関する基準を定めることを目的としたものである。委員会は、歳入法典第35条の3、第 71条の2及び第71条の3の追加を承認する。その後、内閣総理大臣は、当該法案の提案を5日間待機 し、当該期間が経過した後、20日以内に国王陛下へ提出する。国王陛下による署名がなされた後、当該法 案は、官報に告示され、法律として適用する。

タックスニュース第258号2018年5月号掲載の歳入法典改正法案に基づき、特別委員会は、以下の通 り検討する。

  1. 第71条の2第1項の条文案 独立した事業を営む相互関係を有する会社又は法人格を有する 組合が、会社又は法人格を有する組合間で利益を移転していると信じられるような取引に対する取 引目的の追加。(売買、役務提供、融資提供)
  2. 第71条の3第3項 相互関係を有する会社又は法人格を有する組合に関する情報の文書化義 務が求められる会社または法人格を有する組合の収入額を、“所得額3千万バーツ以上”から“所 得額2億バーツ以上”へと変更。そのほかに、収入が2億バーツ又は2億バーツ以下の会社又は法 人格を有する組合が、移転価格税制の文書化以外にほかの書類の作成を求められるかについては、 以後、歳入局が詳細について通知する。
  3. 第71条の3第2項の条文案 相互関係を有する会社又は法人格を有する組合に関する情報の 文書の提出における条項の追加。これは会社又は法人格を有する組合が最初に通告書を得た場合に 限るものであり、当該会社又は法人格を有する組合は、原則60日を期限として理由があれば90 日の延長がみとめられていたが、最初に通告を受け取った時に限り、通告書を受け取った日から 180日まで延期が認めらる旨変更された。しかし、会社又は法人格を有する組合が通告書を2回 以上受け取った場合、当該通告書を受け取った日から60日以内に移転価格レポートを提出しなけ ればならない。
  4. 国内における会社又は法人格を有する組合の移転価格の文書化(TP documentation) (Local file)及び関係会社又は法人格を有する組合の移転価格の文書化(Master report)は、会社又は法人格を有する組合の経営管理において役立つので、重要なものである。
  5. 法人所得税申告書と同時に提出する相互関係を有する会社又は法人格を有する組合の移転価格 及び各会計期間における相互取引総額に関するレポートは、明確化され、且つ異なる解釈があって はならない。会社又は法人格を有する組合がこれに履行しない場合は、第35条の3の規定により 処罰されるものとする。
  6. 本法案は、法人所得税の徴収に資するためのものであり、特に第71条の2及び第73条の3 の条文案は、付加価値税に対し適用される条項ではない。
  7. 本法案は、会社又は法人格を有する組合の2019年1月1日から開始する会計期間における 所得に対し適用する。

法律として適用される上記法案の詳細は、以下の通りである。

仏歴………….年
歳入法典改正法案(第……号)

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
歳入法典を改正すべきものとして。
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………..

第1条 本法律は、“仏歴……….年歳入法典改正法(第……..号)”と称する。

第2条 本法律は、官報へ告示された日の翌日から適用する。

第3条 以下の条項を、歳入法典第35条の3として追加する。

“第35条の3 第71条の3に履行しない又は正当な理由なく虚偽の情報を記載して第71条の3に定め る報告書又は書類又は証拠を提出した者は、20万バーツ以内の罰金に処する。”

第4条 以下の条項を、歳入法典第71条の2及び第71条の3として追加する。

“第71条の2 相互関係を有する会社又は法人格を有する組合が、独立した会社又は法人格を有する組合 にり定められるべき条件と異なる商取引又は財務上の条件を有する場合で、且つ、当該会社又は法人格を有 する組合が、利益を移転すると信じられる取引を行っている場合、査定官吏は、第65条の規定により納税 すべき純利益、第70条又は第70条の2の規定により納税すべき課税所得の計算のために、独立した取引 を行う会社又は法人格を有する組合が収受すべき収入額又は支出すべき費用額になるよう、当該会社又は法 人格を有する組合が収受した又は支出したものとして、当該会社又は法人格を有する組合の収入及び費用を 調整する権限を有する。但し、省令に定める基準、手続及び条件に準ずるものとする。

第1項に定める相互関係を有する会社又は法人格を有する組合とは、次の各号に掲げる特徴の関係を有する 2つ以上の会社又は法人格を有する組合を意味する。

(1) 一方の法人が、直接又は間接的であるかにかかわらず、他方の法人の株式を、資本金の50%以上 保有している。

(2) 直接又は間接的であるかにかかわらず、一方の法人の資本金の50%以上の株式を保有している又 は資本金の50%以上を出資している株主又は出資者が、直接又は間接的であるかにかかわらず、他方の法 人の資本金の50%以上の株式を保有又は資本金の50%以上出資している。又は、

(3) 省令に定めるところにより、一方の法人が他方の法人から独立して取引ができないような資本面、 経営面又は支配面での関係を有する法人。

査定官吏が、第1項の規定により会社又は法人格を有する組合の収入又は費用を調整したことにより、当該 会社又は法人格を有する組合が、納付すべき税額を超えて又は納税義務ないにも拘らず、納付した又は源泉 徴収された場合、当該会社又は法人格を有する組合は、法に定める申告期限の最終日から3年以内、又は査 定官吏から書面により当該調整の通知を受けた日から60日以内に還付請求する権利を有する。

第71条の3 第71条の2第2項に定める相互関係を有する会社又は法人格を有する組合の特徴に該当す る他の会社又は法人格を有する組合と相互関係を有する会社又は法人格を有する組合は、会計期間を通じて 当該相互関係又は会計期間中に相互取引があるか否かにかかわらず、歳入局長所定の書式に基づき、会社又 は法人格を有する組合に関する情報又は各会計期間における相互取引総額を報告する書面を、第69条に定 める期限以内に申告書の提出と同時に査定官吏に対し提出するものとする。

査定官吏は、歳入局長の許可を得て、第1項に定める相互関係を有する会社又は法人格を有する組合に関す る情報を報告する書面を提出した日から5年以内に、第1項に定める会社又は法人格を有する組合に対し、 歳入局長の定めに従い、相互関係を有する会社又は法人格を有する組合の相互取引にかかる条件の分析に必 要な情報が示されている資料又は証拠の提出を求める旨の通告書を交付することがある。当該通告書を受 取った者は、受取日から60日以内に履行しなければならない。但し、当該期限以内に履行できないような 必要な理由のある場合、歳入局長は、当該期限を、当該通告書の受取日から120日以内の範囲で延長する ことができる。これについては、最初の通告書を受け取った場合に限るものであり、通告書受取者は、当該 通告書受取日から180日以内に履行しなければならない。

本条の規定は、会計期間になされた事業による収入又は事業に起因して得た収入が、省令に定める金額以下 又は他の特徴を有する会社又は法人格を有する組合には適用されない。当該省令に定める収入額は、2億 バーツを下回らないものとする。”

第5条 第3条及び第4条の規定は、仏歴2562(2019)年1月1日又はそれ以降に開始する会計期 間を有する会社又は法人格を有する組合の所得に対し適用されるものとする。

重要法令・ルーリング全訳・解説

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所得税に関する歳入局長通達(第330号)

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歳入局命令第トー・ポー299/2561号

  会社又は法人格を有する組合の益金及び損金の計算における発生主義の適用について

仏暦2561(2018)年産業振興局規則

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