タックス・ニュース 第232号 2016年4月号

タックス・ニュース 第232号 2016年4月号

トピックス

税金徴収のための情報交換の国際協力に関する法律の制定

  • 米国において、2010年に成立施行されているFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)により、米国外金融機関に米国の納税者にかかる顧客情報を報告する義務を課していますが、タイもこの法律に従い、国内法を整備する準備をしています。
  • そもそも対金融機関法や証券取引法では、法令が権限を付与する場合に限り、金融機関事業者はかかる顧客情報を開示することができるとされているため、かかる法律の整備がタイでも必要となったと政府により説明されています。
  • 最近話題となっているパナマ文書について、ほぼご存じない方も少ないと思います。経済や企業がグローバル化し、企業や裕福層がタックスヘイブンや租税条約を利用した租税回避が半ば当たり前のように行われてきていることが、一般人にも明らかになってきています。
  • OECD租税員会も、かかる事態に対応するため、税に関する税務当局間の情報交換についての国際基準を検討してきており、2002年にはOECDモデル租税交換協定を策定し、2005年にはOECDモデル租税条約第26条について、金融機関機密情報であること、または自国に課税上の利益がないことを理由に「要請に基づく税情報の提供」を拒否できない、との基準を導入しています。
  • 米国のFTACAは、この「要請に基づく情報提供」ではなく、「自動情報交換」ともいうべきもので、この法律をきっかけに多国間で自動的に口座情報を交換する仕組みを作る機運が、OECDやG20を中心に昨今高まってきていました。
  • OECD税務委員会では、2014年、自動的情報交換の共通報告基準(Common Reporting Standard: CRS)を公表し、G20においても2017年または2018年末までに、自動的情報交換を開始するとの合意されています。
  • OECDの税に関する自動的情報交換制度には、日本を含めたOECD加盟国、G20各国、香港、シンガポール、スイス、ケイマン諸島などのタックスヘイブンを含めた97か国が参加を表明ていますが、タイの参加はまだ明らかではありません。
  • もっとも、米国のFTACAへの参加(正確には国内金融機関への同法の直接適用を避けるために米国と各国間での政府間協定(Inter-Government Agreement: IGA)の締結)については、タイは実質合意に至っている国と米国歳入局(IRS)より公表されており、今回の法律制定も、これに基づくものと推察されます。
  • その意味では、今回の法律はあくまで米国に対しての自動情報交換に的を絞ったものかもしれませんが、日本のようにOECDが策定したCRSにも参加する、あるいは将来的に参加することになると、この法律は日本を含めた多国間での適用されることになってくるかもしれません。この点を踏まえ、この法律の動向に注目していきたいと思います。

最新法令一覧表

重要法令・ルーリング全訳・解説

最高裁判決要旨 15965/2557(西暦2014年)

不当解雇事由の妥当性

歳入局解説

歳入法典に定める租税に関する実務の免除及び支援を規定する法律(緊急勅令)に基づく歳入法典に定める租税に関する実務の免除又は支援(第3号)

歳入局ルーリング第ゴーコー0702/ポー8730

設立登記が抹消された会社に対して支出した費用の損金性

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