タックス・ニュース 第280号 2020年04月号

タックス・ニュース 第280号 2020年04月号

最新法令一覧表

トピックス

   電子媒体を通じた通信会議に関する緊急勅令

    これまで、インターネット等を通じた通信会議について、出席者全員がタイ国内に所在し、そのうち実際に も3分の1以上が一同に会することが条件とされていたため、実用性に欠けていた。しかし、新型コロナ ウィルス拡大により通信会議方式による取締役会議及び株主総会開催の需要や必要性が増したため、緊急勅 令という形で、2020年4月20日以降、上記条件を満たしていなくてもインターネット等を通じた通信 会議が可能となった。
本緊急勅令による通信会議の条件は以下の通りである。

  1.  情報技術・通信省により定められた安全基準に準拠すること(今月中に発行予定。それまで は以前の安全基準に準拠すること)
  2.  以下の各号を実施する

        (1)    会議に参加する前に、全参加者の身元を確認すること。
        (2)    議事録は、書面をもって作成する。
        (3)    会議時には、必要に応じて、会議参加者全員の音声を電子データの形式で録音又は録画し作成する。但し、秘密会議の場合はこの限りではない。
        (4)    証拠として、会議参加者全員のログファイルデータを保存しておくこと。

    外国人職位認可、仏歴2520(1977)年投資奨励法第25条及び第26条により認可された職位 への外国人就労及び職位期限及び就労期間延長の審査に関する基準
外国人の職位申請、外国人の認可 された職位における就労並びに仏歴2520(1977)年投資奨励法第25条及び第26条に基づき認可 を得た職位期限及び就労期間延長において、投資家に対する便宜供与及び明確化を図るために、
仏歴2520(1977)年投資奨励法第11条、第13条、第25条及び第26条の権限に基づき、投資 委員会事務局は、投資委員会による委任を得て、以下の通達を発布する。

第1項 本通達において、
「外国人」とは、奨励事業に就労することを目的として入国する外国人熟練専門家を意味する。
「システム」とは、ビザ及び労働許可証サービスセンターのSingle Window システムを意味する。
「Executive 階級職位」とは、Chairman, President, CEO, Vice President, Executive Director, Managing Directorなどの幹部階級の職位を意味する。
「Management階級職位」とは、Production Manager, Marketing Advisor, Assistant Production Manager, Project Leader などの部長階級の職位を意味する
「Operation階級職位」とは、Production Supervisor, Project Coodinator, Electrical Engineer, IT Programmer, Injection Mold, Technician, Data Analystなどの、オペレーション階級の職位を意味する。

第2項 製造事業における外国人の職位認可、外国人の認可された職位への就労及び職位期限及び就労期間 の審査は、以下の基準による。

        2.1    職位の認可は、業種、投資規模、タイ人労働者の雇用数、採用技術のレベル及び生産過程などを主に、事業の構造から検討する。

                2.1.2     製造業における職位期限は、1回の認可につき2年以内とする。
                2.1.3        科学技術における研究者(Researcher)として就労する専門家の職位期限は、1回の認可につき4年以内とする。

        2.2    外国人の認可された職位への就労における検討。

                2.2.1     Executive階級職位及びManagement階級職位は、満27歳以上であり、その就労する職位にに該当する業務経験が2年以上の外国人のみ許可する。当該外国人 の学歴が、その就労分野と異なる場合、当該職位に関する業務経験が5年以上とする。

        2.3    認可された職位期限及び就労期間の延長

                2.3.1     認可された職位期限及び就労者の就労期間延長は、事業計画、生産能力増加計画、生産工程の更新計画、生産効率又は品質並びにタイ人人材の不足している職位であるかなどを基 に検討する。
                2.3.2     認可された職位期限及び就労者の就労期間は、1回の延長につき、2年以内とする。
                2.3.3     科学技術における研究者(Researcher)として就労する専門家の職位期限の延長は、1回につき4年以内とする。

第3項     サービス業における外国人の職位認可、外国人の認可された職位への就労及び職位期限及び就労期間の審査は、以下の基準による。

        3.1 外国人の職位の認可。

                3.1.1     職位の認可は、業種、投資規模、タイ人労働者の雇用数、採用技術のレベル及び生産過程などを主に、事業の構造から検討する。
                3.1.2     サービス業における職位期限は、1回の認可につき2年以内とする。
                3.1.3       仏歴2562(2019)年2月以降に投資奨励恩典が認可されたソフトウエア事業、デジタル技術サービス事業及び電子商取引業の場合、デジタル技術分野における専門家とし て就労する外国人は、月収額が、75,000バーツ以上のシニアレベルのおける職位のみ検討するものと する。
尚、最初の就労の場合は、雇用契約上の収入から検討し、職位期限及び就労期間の延長は、PND.1に記 載される当該就労者の収入所得額から検討する。

                3.1.4     国際地域統括本部(IHQ)、国際貿易センター(IBC)、研究開発業、ターゲット技術業及び電子設計事業は、1回につき、4年以内認可する。
                3.1.5     科学技術における研究者(Researcher)として就労する専門家の職位期限の延長は、1回につき4年以内とする。
                3.1.6     貿易投資支援事務所(Trade and Investment Support Office: TISO)、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業(Business Process Outsourcing: BPO)、インターナショナル・ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業(International Business Process Outsourcing: IBPO)における職位認可は、1回に月1年以内とする。Workstationに常勤するオペレーター職位の承認は、奨励証書に記載のWorkstationの箇所数に 関する条件による。

        3.2 外国人の認可された職位への就労における検討。

                3.2.1     Executive階級職位及びManagement階級職位は、満27歳であり、就労する職位の分野における業務経験が5年以上の外国人のみ認可する。
                3.2.2     Operation階級職位は、満22歳以上であり、卒業した学科及び就労する職位と同一の分野における業務経験が2年以上である外国人のみ許可する。又、卒業した学科と 就労する職位の分野が異なる場合は、就労する職位の分野における業務経験が5年以上でなければならな い。
                3.2.3     仏歴2562(2019)年2月以降に投資奨励恩典が認可されたソフトウエア事業及びデジタル技術サービス業におけるExecutive階級職位及びManagement 階級職位への就労は、その就労する職位と同一の分野における業務経験が5年以上の外国人のみ認可する。
                3.2.4       仏歴2562(2019)年2月以降に投資奨励恩典が認可されたソフトウエア事業、デジタル技術サービス業及び電子商取引事業におけるExecutive階級職位及び Management階級職位は及びOperation階級職位の場合、デジタル技術分野における専門 家として就労する外国人は、月収75,000バーツ以上のシニアレベルのみ認可する。
尚、最初の就労の場合は、雇用契約上の収入から検討し、職位期限及び就労期間の延長は、PND.1に記 載される当該就労者の収入所得額から検討する。
                3.2.5     仏歴2562(2019)年3月より以前に投資奨励恩典を受けたインターナショナル・ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業(International Business Process Outsourcing: IBPO)を対象とする貿易投資支援事務所におけるWorkstationに常勤するOperator階級職位は、満22歳以上であり、その就労する職位と同一の分野にお ける業務経験が2年以上又は関連分野における研修歴が3ヶ月以上の外国人の就労のみ認可する。

新規の奨励恩典を申請する事業及び仏歴2562(2019)年3月以降に奨励恩典が認可された、 Workstationの追加に係る奨励証書の改訂のみ申請する既存の事業は、学士過程又は同等の学位 を終了した外国人のみ就労を認可する。その際、関連分野における研修証拠を有しており、月収3万バーツ 以上であることが求められる。尚、最初の就労の場合は、雇用契約上の収入から検討し、職位期限及び就労 期間の延長は、PND.1に記載される当該就労者の収入所得額から検討する。
                3.2.6     職位が教師の場合、Operation階級職位の基準を基に外国人の資格を検討する。その際、教師任命書及び教員協会から発行された教員免許を添付しなければならない。
                3.2.7     航空機操縦士の場合、Operation階級職位の基準を基に外国人の資格を検討する。その際、操縦士免許証(Validation)と同時に、タイ民間航空局により発行 された支援書を添付しなければならない。

            3.3 許可された職位期限の延長及び就労期間の延長。
                3.3.1     認可された職位期限の延長及び就労者の就労期間は、事業計画、サービスの提供過程改善計画、サービス提供効率及び水準改善及びタイ人人材が不足している職位であるかなどの 要素から検討する。
                3.3.2     認可された職位期限の延長及び就労期間の延長は、事業が他に定める場合を除き、1回につき2年以内とする。
                3.3.3     国際地域統括本部(IHQ)、国際貿易センター(ITC)、国際ビジネスセンター(IBC) 、研究開発事業、ターゲット技術開発事業及び電子設計事業にいて認可された職位期限及び就労期間の延長は、1回につき、1年以内とする。
                3.3.4     科学技術分野における研究者として就労する専門家の職位期限延長及び就労期間の延長は、1回につき4年以内とする。
                3.3.5     貿易投資支援事務所(Trade and Investment Support Office:TISO)、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業(Business Process Outsourcing : BPO)、インターナショナル・ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業(International Business Process Outsourcing :IBPO)において認可された職位期限及び就労期間の延長は、1回につき4年以内とする。

第4項     会社が事業の操業開始許可を得た際、投資委員会事務局が相当と認める分につき、Operation階級職位に就労する外国人の人数を減少させなければならない。

第5項 本通達に基づく(仏歴2520(1977)年投資奨励法)第25条及び第26条に定める外国人 の入国許可申請は、仏歴2560(2017)年9月22日付投資委員会事務局通達第ポー3/2560号 に準拠して手続きを行うものとする。
 
第6項    上記基準は、一般的な検討指針として採用するものとする。但し、奨励証書において他の追加条件が記載されている又は正当な理由のある場合は、投資委員会長官は、その都度の 事案によって勘案するものとする。

第7項 本通達に基づき審理することができない場合は、投資委員会長官が審理するものとする。

仏歴2563(2020)年2月 11日通達
ドゥワンジャイ・アッサワジンタジット
投資委員会長官

    タイ会計業協会による一時的猶予による会計上の指針


タイ会計業協会は、一時的猶予となる会計上の指針を2通発布した。当該指針は、官報掲載し、施行され た。その内容は、以下の通りである。

  1.  会計上の実務指針第1号(主題:タイ国経済に対して影響をもたらす状況により影響を受け た債務者を支援する事業を対象とする一時的猶予措置)。本指針は、タイ中銀の管轄内における金 融機関、顧客に対してローンを提供する事業(例:ハイヤーパーチェス、リース、クレジットカー ドなど)並びにタイ中銀が債務者に対してタイ国の経済上の流動性を増加させるために金融機関を 支援する措置に定める指針に基づき債務者を支援する全ての事業を支援するためのものである。本 支援について、タイ会計業協会は、TFRS第9号に定める原則に基づく債務者の格付における会 計上の手続きについて猶予しており、それは債権につき、結果を待つことなく直ちにこれを第1レ ベルに格付することを可能とするほか、3ヶ月様子を見て、不良債権(NPL)を第1レベル (Stage 1)に格付けすることができ、未使用の与信粋からの貸倒引当金の計算免除などが挙げられる。

猶予期間は、2020年1月1日から2021年12月31日若しくはタイ中銀による変更があり、当該変 更を適用するまでである。

  1.  会計上の実務指針第6号(主題:コロナウイルス感染拡大状況に対応するための会計上の追 加選択肢のための猶予措置) 

本指針は、TFRS第9号:金融商品、TFRS第13号:公正価値の測定、TFRS第16号:リース、 TAS第12号:所得税、TAS第36号:資産の減損、TAS第37号:引当金、偶発負債及び偶発資産 を適用しており、不確実性の高い状況に置かれていることにより、裁量によって見積りを行わなければなら ない事業を支援するためのものである。

そこでタイ会計業協会は、簡潔な方法による不良債権の算定について、将来の推測情報を採用することな く、過去の実績情報のみを引用した算定、2020年度第1、第2、第3四半期決算及び2020年度末決 算日時点の市場性のない持分証券の公正価値の測定について、2020年1月1日時点の公正価値を採用す ることを認めるなどの、各種会計上の一時猶予措置を定めた。

猶予期間は、2020年1月1日から2020年12月31日までである。


重要法令・ルーリング全訳・解説

    仏歴2563(2020)年電子媒体を通じた通信会議に関する緊急勅令

         電子媒体を通じた通信会議の開催に関する基準

    仏歴2563(2020)年経済影響に起因して失業した場合における失業保険金の支給に関する省令

         経済影響による失業保険金の支給に関する基準

    仏歴2563(2020)年感染病法に規定する感染病拡大に起因する不可抗力事象による失業の場合における失業保険金受給に関する省令  

             コロナウイルスの影響による事業停止の場合における、失業保険金の支給について

    仏歴2563(2020)免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第357号

            投資信託の売却及び購入費用に相当する所得を対象とする所得税免税措置

    仏歴2563(2020)年免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第358号

           電子決済による物品購入及び役務利用料の支払いにより取得した支援金又は保証金を対象とする所得税免税措置    

   仏歴2563(2020)免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第360号

        住宅購入者に対する負担軽減措置

   仏歴2563(2020)所得税に関して規定する歳入法典に基づく省令第 361号

       仏歴2522(1979)年免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第144号の改正 

   歳入局命令第トー・ポー324/2563号

       歳入法典第40条の定める課税所得支払者に対し、源泉徴収義務を命ずる旨の命令

   財務省通達

       歳入法典に定める法人所得税申告及び納税期限の延長(第2号)

   財務省通達

       仏歴2562(2019)年度の課税所得を対象とする個人所得税の納付義務者に対する申告及び納付期限延長措置(第2号)

   財務省通達

       源泉徴収義務者、法人所得税送金義務者、付加価値税、特定事業税及び印紙税の申告、送金又は納付期限の延長措置(第2号)

   財務省通達

       特別な取引を有する者に関する情報の報告書提出義務者に対する最初の報告書提出期限延長措置)

   所得税に関する財務省通達(第392号)

       歳入法典に規定する会社又は法人格を有する組合の所得税に関する手続きのためのタイ通貨以外の機能通貨について

   所得税に関する財務省令(第393号)

       タイ通貨以外の通貨を機能通貨として採用する会社又は法人格を有する組合の財務諸表に記載する通貨、資産、負債及びその他の項目の価額又は価格の計算について

   歳入局長通達(第16号)

       歳入局のシステム経由による特別な取引履歴を有するこのに関する情報の報告書提出に関する基準、手続き及び条件について

   所得税に関する歳入局長通達(第367号)

       熱帯暴風雨ポードル、熱帯暴風雨カジキ又は西南モンスーンにより、被害を受けた建物の修繕又は建物又はその建物の立地する土地に設置される資産又はコンドミニアムの個室の 修繕又はその個室に設置される資産の修繕に係る費用として支出した額と相当する所得を対象とする所 得税免除に関する基準、手続き及び条件

   所得税に関する歳入局長通達(第368号)

       熱帯暴風雨ポードル、熱帯暴風雨カジキ又は西南モンスーンにより被害を受けた車両、車内設備又はその他の設備の修繕又は修繕に係る資材又は設備の費用として支出した額に相 当する所得を対象とする所得税免除に関する基準、手続き及び条件

   仏歴2563(2020)年産業振興局通達

       法人の総会開催時期に影響をもたらし得るコロナウイルス感染拡大対応措置

  

Comments are closed.

.